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【GRAV 勝山氏インタビュー前編】「いつまで1人でやり続けるんだろうと悩んでいた」副業からの創業、forestへのブランド譲渡までの道のり

2023.06.01 m&a
forestへのブランド譲渡の裏には、どのようなやり取りや決断、ブランドオーナーの想いがあるのでしょうか。今回は、革小物ブランドGRAVの承継(M&A)について、同社の創業者である勝山氏と、GRAVの運営に携わるforestのブランドマネージャー安藤 成希の対談をお届けします。(以下、敬称略)

GRAVの成り立ちと設立経緯

安藤:
まずはGRAVについてご紹介いただけますか。

勝山:
GRAVは革小物、バッグのブランドです。ブランドを立ち上げたきっかけは、会社員時代に収入を増やすために何か副業を始めたかったからで、既存商品を仕入れて販売するビジネスには惹かれなかったため、自分のブランドを立ち上げました。それまで特別ものづくりに長けていたわけでも、革小物について詳しいわけでもなかったですね。 AmazonやYahoo!、楽天と一通りのモールに出店し、売上が増加。結果が付いてきたことを受け、法人化して本業にしました。個人事業主時代は1年10ヵ月ほどですね。

安藤:
どのようなコンセプトで運営されてきたのでしょうか。

勝山:
新しい価値を提供したいと、「add new value」を掲げてやっていました。似たような革小物やバッグが多くあるなかで、今の時代に合った価値を付けた商品を作ることで差別化しようと。他製品と同じ値段でも機能性が高かったり、小さいサイズのカバンや財布が求められる時代に合わせてミニサイズの商品展開を豊富にしたりといったことですね。

GRAV創業者勝山氏

セラー仲間からの話から、ブランドの譲渡(M&A)が選択肢の1つに浮上

安藤:
法人化後、ブランドの譲渡(M&A)をお考えになられたのはいつ頃ですか?

勝山:
2022年あたりですかね。法人化したときにはM&Aは頭になく、セラー仲間からそういう話が出てくるようになってきたことで多少意識をし始めたかなという感じです。

それまではM&Aは自分とは別世界の話で、大きな企業がするものだと思っていたんですよ。ただ、仲間から話を聞くなかで、いずれはM&Aが目標の1つなのかなと考えるようになりました。

具体的に話が進み始めたのは、M&A仲介会社からの電話がきっかけです。そのときの私は、正直ブランド運営にしんどさを感じていまして。このままの体制でいくのは厳しいため、人を増やすなり何なり手立てを考えなければならないなと悩んでいた時期だったんです。「いつまでやるんだろうな」と考えていたタイミングだったこともあり、そのまま話を進めていただきました。

M&A仲介会社からECブランドに特化して承継を行っているforestを提案されて、そのままforestと話を進めることになりました。法人化から売却するまでの期間は1年半ほどです。

安藤:
特に他社との比較はされていないのですか?

勝山:
していないですね。いろいろ調べて比較し、交渉することにしんどさを感じていましたので。何せ、日常業務をこなしながら進めなければならないわけですからね。提示された金額に違和感もなかったので、自分が納得できるならそれでいいと。他社と交渉しながら少しでも高く売りたいといった意識はありませんでした。

安藤:
最終的にM&Aをしようと決断された決め手は何だったのでしょうか。

勝山:
1人で戦うのに疲れていたこと、加えてM&Aしたほうがブランドにとっても良いのではないかと思えたことですね。そのほうが伸ばせるだろうなと。説明を受ける前は株式を売却すると自由度が下がるイメージがあったのですが、交渉の途中からforestと一緒にブランド運営することに対して楽しそうだなと感じるようになりました。

そのため、当初は完全に手を離すつもりだったのですが、途中からブランドに携われる契約内容に変更していただいています。


「できるだけ交渉はしたくなかった」forestへの譲渡を決めた理由

安藤:
ここからはforestへのブランド承継プロセスについて伺いたいと思います。最初はどのような印象が弊社にありましたか?

勝山:
forestの会社HPに掲載されている経営陣の経歴を見て、「プロフェッショナル畑の経歴で気後れせずちゃんと話せるだろうか」と思ったのを覚えています(笑)でも実際には杞憂でしたね。

安藤:
ブランド譲渡を経験してみてのご感想はいかがですか?

勝山:
進んでいくうちに、早くハンコを押してしまいたいなという気持ちになっていました。思っていた以上にやることが多かったんですよ。1人でやっていたものですから、常にきちんと資料を整えていたわけではなく、「データがないとブランド譲渡の交渉で必要資料を提出するときにこんなに困るものなんだな」と(笑)。過去の自分を含め、いずれM&Aを検討する可能性がある方には、ぜひ資料をきちんと揃えておくことをおすすめします。

進行自体はこちらがやりやすいように進めていただけたと思っています。最終段階で金額を下げられてしまい、渋々その価格で契約したという話を聞いたことがあったんです。そういった交渉をすることに対し億劫な気持ちがあったのですが、独占交渉のハンコを押すタイミングで初期提案金額が提示され、そこから最終価格で下がることはありませんでした。「最終価格で下がるのは嫌だ」とこちらから伝えてもいまして、「そういうことはしませんので安心してください」と回答もいただけていました。

安藤:
交渉がまったくないわけではありませんが、弊社は投資会社出身のM&Aのプロもチームにいますから、M&Aプロセスは後から問題とならないように、また、双方にフェアになる様に進めています。

勝山:
初回の金額を提示する前の段階からしっかり見ているとおっしゃられていました。

安藤:
その通りです。弊社は「誠実」さを経営上とても重視しています。だますようなやり方をしてEC業界で悪評が広まってしまったらおしまいだと思っています。Win-Winとなるよう正当なプロセスを踏むのは我々のためでもあるのです。


ブランド譲渡はセラーにとって1つのゴール地点

安藤:
譲渡後については後ほどあらためてお伺いしたいのですが、あらためて今回のM&Aを振り返ってみての想いをお聞かせいただけますか?

勝山:
いい選択だったと思います。セラー仲間からも羨ましがられますね。やはり、どこかのタイミングで譲渡するのは、1つのゴール地点なのだなと感じました。

周りと話していて感じるのは、M&A後のイメージがない人が多いなということ。売却して終わりと感じている人が多いので、「そうじゃない選択肢もある」と伝えたいですね。もちろん、完全に手放したい方はそうした選択もできますが、私のようにブランドに携わり続けることもできる。いろいろな選択肢があると知れることで、M&Aを前向きに検討できる人もいるのではないでしょうか。

安藤:
そうですね。先ほどもお話があったように、勝山さんは当初弊社に譲渡後は退かれるつもりでしたが、途中から今の形に変更されました。ブランドへの想いがある方は、一緒に作っていく方向性で座組を組めますので、ぜひお気軽に問い合わせていただきたいです。

インタビューの後半では、ブランド承継後のforestの関わり方についてお話を伺います。


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