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【OVER’s 岩井氏インタビュー前編】「唯一、ブランド成長に本気だった」6年前に描いたExit目標達成までの軌跡、そしてforestをパートナーに選んだ理由とは

2023.09.25 m&a
forestへのブランド譲渡の裏には、どのようなやり取りや決断、ブランドオーナーの想いがあるのでしょうか。今回は、株式会社OVER’sの代表 岩井氏と、forestの代表 湯原伸悟の対談をお届けします。(以下、敬称略)

スマートフォン用品ブランドガラスザムライを展開する株式会社OVER’sの株式を取得


OVER’sの創業経緯と事業説明

湯原:
まずはOVER’sについてご紹介いただけますか。

岩井:
OVER’sはスマホアクセサリーブランドです。ガラスフィルム「ガラスザムライ」の販売がメインで、売上の9割を占めています。同業他社が多く存在するなかでこだわってきたのは、日本素材であることとアフターフォロー。スマホアクセサリーは消耗品ですから、何度もOVER’sの商品を買っていただけるよう、売ったあとのフォロー面に力を入れてきました。その結果、多くのリピーターに恵まれています。
OVER’s ガラスザムライ製品

湯原:
あらためて、どのような経緯で創業されたのかについてもお聞かせください。

岩井:
大学在学中に個人で始めたアメリカからの輸入販売が私の事業のスタート地点です。個人事業主としてやっていくノウハウを教えてくれた方に誘われ、その次はアフィリエイト会社でのライティングを経験。海外輸入販売のノウハウを活かし、営業台本やセミナーのセールス代行を行っていました。そこで培った文章で伝える力を活かして、今のインターネット物販の仕事に至ったという流れです。

アフィリエイトは人の商品を売る商売で、自分のブランドを持つことに憧れがあったんですよ。2014年ごろからOVER’sでインターネット物販を始め、20種類くらいのジャンルを試した末に行き着いたのがスマホアクセサリーでした。スマホケースのサンプルを注文したときに防水ケースをおまけで付けてくれたのが嬉しくて、こういった「おもてなしの心」を感じられる購入体験を提供したいと思うようになったんです。
”おもてなし”の一例として、OVER’sの商品には1点1点手書きの手紙とアフターサポートの案内が同梱されている

2016年ごろからM&Aが1つの夢であり明確な目標だった

湯原:
ブランドの譲渡については、いつ頃からどのようなきっかけで検討されたのでしょうか。

岩井:
漠然と考え始めたのは2016年ですね。当時、サイト売買が流行っていて、試算してもらったことがあったんです。それまでは個人で資産を持てることを知らなかったのですが、その経験からEC業者としてM&Aによるブランドの譲渡は1つの夢であり出口だなと思うようになりました。具体的に考え始めたのは2022年ですね。

湯原:
最初に考え始めてから6年ほどが経っていますね。このタイミングだったのはなぜですか?

岩井:
年商10億円を達成したタイミングですね。個人事業主のEC事業者として、年商10億円は1つの小さなゴールだという感覚があり、区切りを付けようかなと思ったんです。商品をスマホフィルムに集中させたことで事業が形になった感覚があり、自分で経営を続けるのか、譲渡して承継先の力を借りてもっと大きくさせるのか半々で揺れていた部分もありました。

「一緒に成長させましょう」という姿勢が後押しに。売却先をforestに決めた理由

湯原:
コロナ禍だったこともあり、最初はオンライン上で2、3度お話したあとに実際にお会いする機会をいただきました。素晴らしいブランドづくりをされていて、しっかりとポリシーを持って売り上げも立てている会社だなというのが当初の印象です。他の譲渡先候補企業ともお話をされていたのでしょうか。

岩井:
そうですね。細かいところを入れると6社くらいと相談しています。そのうち面談したのが4社で、forestはその最後の1社でした。前の3社のうち、2社はこちらからお断りしていまして、1社は契約前日に先方からキャンセルされています。検討を始めてから1年ほど経っていたので、このキャンセルを機に「これ以上やるのはしんどいな」とブランドの譲渡自体を辞めようかと思っていたんです。そのタイミングで、仲介会社経由でforestに出会いました。

湯原:
弊社の印象はいかがでしたか?他社との違いもあれば伺いたいです。

岩井:
「一緒に大きくしていこう、成長させていこう」というスタンスを4社中で唯一感じた会社でした。他の会社は一緒にやっていくイメージが正直わかず、譲渡後はロックアップ期間が終わったら経営から離れる前提で、従業員も引き継がないという話で進めていたんです。しかし、forestは一緒にやろうという感じだった。

また、急成長しようとしている会社でもあり、一緒にやれると純粋に面白そうだなと感じたのが大きかったです。ですから私も残りましたし、従業員も残る形で契約を進めていただくことにしました。新しい会社ではありますが、資本金が10億円規模もあるということはそれだけの期待の表れですし、メンバーの方のキャリアもそうそうたるものだと感じましたね。そんな方たちと一緒にやれれば勉強させてもらえることもあるだろうという期待感もありました。次のキャリアとして、大きな会社を作りたいという思いがありましたので。

湯原:
他社と一緒に経営するイメージを抱けなかったのはなぜでしょうか。

岩井:
先方に「一緒にOVER’sを成長させよう」という姿勢がなく、OVER’sのEC販売ノウハウだけを採り入れたいから買いたいという会社が多かったんですよ。割と古い会社からの打診が中心でした。

湯原:
その他に他社と弊社との違いはどこにありましたか?「一緒にやろう」というスタンス以外にあればお聞きしたいです。

岩井:
交渉のしやすさですね。forestは経営者の考えを尊重するスタンスで、「岩井さんがそう思うならそうしましょう」と言っていただけることが多かったのですが、他社は条件があればこちらが合わせなければなりませんでした。

また、情報開示についても、他社は自分たちが優位でいられるよう考えているのだろうなという雰囲気がありましたね。その点についても、forestは明瞭でした。私からは報酬の受け取り方・インセンティブ設計・従業員の雇用の3点について要望をお伝えしたのですが、二つ返事でOKをいただき、スムーズに進めることができました。

どうしても譲渡する側は不安なことが多く、最善で契約したい想いが強くあります。forestはトップの方もフランクに接してくれ、気軽に相談できる関係性を築ける会社だと思いますね。最初の打ち合わせから代表の方が参加してくださる会社もforestくらいで、その点も安心感に繋がりました。不安がまったくない状態でブランドの譲渡できたのは大きいです。

湯原:
そう言っていただけてありがたいです。ブランドの譲渡は結婚のようなものだと考えていますので、情報を後出しにして優位に立つのではなく、対等な関係性を築きたいと思っています。ちなみに、提示価格にはそう違いはなかったのでしょうか。

岩井:
なかったですね。「出口はブランドの譲渡」と決めた2016年ごろに自身の目標とする希望金額をメモしていたのですが、その金額ともほぼ変わりませんでした。

湯原:
その後の流れは本当にスムーズでしたね。必要なデータが整理されていたことが大きかったと思います。

岩井:
前の3社で資料を作っていましたからね。forestに決めてからはスムーズに話を勧められたと感じています。

こだわって作ったモノをより広げていきたい方にforestへのブランドの譲渡を勧めたい

湯原:
譲渡後の関わり方については後ほど伺いますが、あらためてブランドの譲渡を経験してみて、forestへの譲渡が適している会社はどのようなところだと思われますか?

岩井:
御社は「日本のモノづくり」をコンセプトに掲げていらっしゃるので、モノづくりにこだわりがあり、作ったモノをより多くの人に広げたいブランドの経営者に1番オススメしたいです。先ほどもお話したように、創業者を尊重してくださる会社ですので、安心して売却できるのではないかと思いますね。

インタビューの後半では、ブランド譲渡後の事業協創についてお話を伺います。

【OVER’s 岩井氏インタビュー後編】「足りないリソースを補い合えるからこそ、大きな成長を目指せる」OVER’s代表が語るブランド譲渡後の変化、M&Aを経たからこそ挑める次なる挑戦とは




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