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【CAMP GREEB濱浦氏インタビュー前編】「M&Aは人生のターニングポイント」副業での創業からforestへのブランド譲渡までのリアル

2023.05.16 m&a

forestへのブランド譲渡の裏には、どのようなやり取りや決断、ブランドオーナーの想いがあるのでしょうか。今回は、2022年4月28日に成立した株式会社ヒラケドアおよび自社ブランドCAMP GREEBのM&Aについて、同社の創業者である濱浦賢治氏と、CAMP GREEBの運営に携わるforestの村上慧悟の対談をお届けします。(以下、敬称略)

forest株式会社が、キャンプ用品ブランドCAMP GREEBを展開する株式会社ヒラケドアの株式を取得


CAMP GREEBの成り立ちと株式会社ヒラケドアの設立経緯

村上:
まずは、弊社に譲渡されたブランドCAMP GREEBについてご紹介いただけますか。

濱浦:
はい。CAMP GREEBはアウトドア・キャンプ用品の専門ショップです。特に多く扱っているのは焚き火周りの商品で、他社製品よりも低価格かつ機能性を付加している点が特徴ですね。

村上:
私は元々キャンパーではなかったのですが、CAMP GREEBに携わり始めて自分でもキャンプに行き、キャンプ用品を使い始めました。人気商品の1つである大型風防板を使ってみたときには、焚き火の炎が綺麗に見えたことと、反射熱の温かさに驚きました。

濱浦:
大型風防板は大きく売り上げを伸ばしている1つですね。お客様から「倒れやすい」というレビューをいただいたため、ペグで固定できるようリングを付けたり、収納袋をセットにしたりと改良を続けてきた商品です。販売してみないことにはわからない部分があるため、レビューを元にいち早く改良し続けることを大切にしています。


CAMP GREEBが販売する焚き火関連キャンプギア

村上:
濱浦さんがCAMP GREEBを立ち上げた経緯についてもお聞かせいただけますか。

濱浦:
元々キャンプが好きで、2018年頃に遊び程度にフリマアプリで始めたのがスタートです。その後 CAMP GREEB としてAmazon、楽天と販売チャネルを増やすことで、売上が上昇していきました。
当時の私は、個人事業主として稼ぎが増えると税負担が重くなることをあまり意識せず、流れに任せるままに売上を伸ばしていたんです。売上を上げていくのは面白かったですしね。そんなあるとき、縁あってお話した税理士さんから節税のことも踏まえて法人成を勧められ、法人化しました。


会社員をしながらの会社経営に疲弊し、M&Aを検討

村上:
その後、M&Aを検討し始めたのはなぜですか?

濱浦:
M&Aを知ったのは、物販のセラーコミュニティです。我々のようなビジネスは、仕入れに資金がかかるため、キャッシュフローを考えなければなりません。売上が伸びるほど、黒字ではあるのに手元にキャッシュがないといった事態が起こり得る。なるほど、黒字倒産はこのようにして起きるのかと思ったものです。

一度起業すると、上場か倒産か売却の3つのルートしかないのだと思い、改めて何のために創業したのかに立ち返りました。そこで思ったのが、キャンプ好きが高じてモノづくりを始めたもののそもそも私が会社を設立したのは売上が伸びて税金対策をする必要が生じたからであって、会社を作りたかったわけではなかったという原点でした。

副業として会社を経営しながら、売上2億円が見えるところまできた。そうしたなかで、本業に勤めながらキャッシュフローを考えながら会社を伸ばしていくプレッシャーが負担になっていきました。もうこのあたりで一度清算したいと思うようになったころ、M&Aの仲介会社から「一度、興味本位でいいので見積もりを取ってみませんか」という電話を受け、応じたというのが経緯です。

村上:
独立して、商品ラインナップを増やしながら成長させていく道もあったかと思いますが、そこは考えられなかったのでしょうか?

濱浦:
売上を上げたい気持ちはありましたが、当時は会社経営よりやはり会社員優先の生活だったんですよね。会社員を辞めて自分の会社の経営に徹していたら、また違った選択をしたかもしれません。今になって思うのは、物販業で売上がある程度上がるようになったら、独立して事業に専念したほうがより成長できるだろうということです。

村上:
当時の濱浦さんの会社ほど売上があれば独立する決断もできるかもしれませんが、いざ独立となるとなかなか踏み切れない方も多いと思います。一方で、新商品を開発したり事業を立ち上げるゼロイチのフェーズが得意だという方もいます。そうした方に対して、売却を含めたいろいろな選択肢があるべきだと思いますね。


事業と本業を両立しつつ、ブランド譲渡を検討する苦労

村上:
ブランド譲渡の見積もりを開始してから、弊社への売却を決めるまでの経緯についてもお聞かせいただけますか。

濱浦:
forestとの関係は、2021年8月にzoomでお話したのが最初でしたね。実はforestは、当時複数見積もりを頂いた会社のうちの1社でした。

濱浦:
検討開始当初、ある買い手候補から私が希望する金額を提示されたのですが、金額の妥当性がわからず、他社も見たいと思ってしまったんですよね。すると、多くの面談をするうちに精神的に疲れてきてしまったんです。資料も提出しなければならず、業務にも支障が出ていました。その状況下でも売上を落とすわけにもいかず、本当にしんどかったですね。

結果的に、その間に当初金額を提示してくれた会社の熱量が下がってしまった。M&Aの成立には結婚のようにある種の勢いがいるのだと学びました。
年が明けた2022年1月、仲介会社に「M&Aの検討を終了したい」と話をしました。仲介会社からは「もう少し待ってみてはどうですか」と引き止められました。あと残っていたのはforestとの交渉でしたが、ちょうどその日の夜に仲介会社から「forestが独占契約を前提に交渉したいと言っている」と電話を受けたんです。
2度目の面談前には「時間が空きましたが、覚えていただいていますか?お元気ですか?」とご連絡をいただきましたね。面談では両者の目線が合い一気に距離が縮まった印象で、そこからスムーズにM&Aの話へと進んでいきました。

村上:
1週間で金額を提示した会社との差はどこにありましたか。

濱浦:
金額は同額でしたし、1年間は残って引継ぎをしてほしいという条件も同じでした。大きいのは巡り合わせ、ご縁でしょうね。提示された金額に対して、ひょっとしたら安いのかなと思って待ったをかけたことでご縁が途切れてしまい、forestではその縁を結べました。

村上:
複数の買い手候補を検討することは重要である一方、協議の対応コストは大きいものですし双方の意向度が高まるタイミングが合致しないこともあるので時間をかけて候補を広げすぎるのもデメリットがあるのですね。買い手企業の中にはM&Aプロセスが未熟で交渉終盤でトラブルになるケースもあるようです。類似のM&A実績がありM&Aプロセスの遂行もスムーズなチーム体制の買い手候補にあらかじめ絞ることもよいかもしれません。


forestへのブランド譲渡プロセスはスムーズだった

村上:
弊社から独占交渉の申し入れがあり、具体的に話を進めていくところの流れはスムーズでしたか?

濱浦:
そうですね、スムーズだったかと思います。書類を出し、追加書類も用意し、独占交渉を結んでから2ヵ月ほどで正式な譲渡までこぎ着けられました。独占契約を結んだあとも売上を下げるわけにはいかないので、業務をこなしながらひとりで書類作成をしていました。深夜までかかることもありましたね。契約書面でわからないことがあったときには、forestに質問して教えていただきながら進めていきました。支援があったからこそ売却を実現できたと思っています。

村上:
CAMP GREEBはforest3件目の投資でした。今は非公開の投資も含めて実績が数多く蓄積し、よりプロセスが洗練されているため、もっとスムーズに譲渡に至れるようになっています。


“Win-Winなご縁“で”人生のターニングポイント“となったforestへのブランド譲渡

村上:
譲渡後のお話については後ほど詳しく伺いますが、振り返ってみてforestとのM&Aを通じて濱浦さんの人生にどのような変化があったのでしょうか?

濱浦:
M&Aプロセスと譲渡後の引継ぎと協業から私自身色々な学びを得られましたし、本当にWin-Winなご縁を頂けたと思っています。その中で、一番生活に変化があった点としては、やはりM&Aが成立できたことで会社員を辞められ、自分の仕事に集中できる環境を得られたことです。妻と、今でも「あのときにM&Aをしたのは間違ってなかったね」と話すんです。間違いなく人生のターニングポイントでしたし、人生で一度あるかないかのM&Aを経験できて良かったと思います。

村上:
素晴らしいですね。確かに今も濱浦さんとはお仕事ご一緒させて頂いていますが、新商品開発や新しいブランドの立ち上げ準備など、新しい挑戦を続けていらっしゃいますよね。

村上:
インタビューの後半では、ブランドを譲渡した後のforestの事業成長アプローチへの所感や、濱浦さんの生活がどのように変わったかなどについてお話を伺いたいと思います。


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